…爆発すればいいのに。

帰り道をひとり、コンビニの袋を右手にぶら下げながら、思う。

爆発すればいいのに。帰り道に並ぶ、一軒家全部。あとマンション。無駄に高いやつ。

あたしがさ。こう、人差し指を向けてちゅどーん!どかーん!とか言ったら、木端微塵になっちゃうとか。かなり気持ちいいのに。

そしたら用意された炊きたてのご飯とか、ダシからとったお味噌汁とか、ふわっふわ玉子のオムライスとか、その上にケチャップで書かれたハートマークとか、全部吹っ飛ぶのに。

吹っ飛んで、あたしのコンビニ弁当とごちゃ混ぜになって、違いがなにもわからなくなるのに。

あったかいご飯と、冷えたご飯と、混じって、温くなって、温くなってしまえば、わからないのに。痛いのとか、辛いのとか。


爆発って、起こったら多分、悲鳴をあげる間もない。

だから言葉を交わす暇なんてない。

今日の晩ごはんなに?とか、入浴剤何にする?とか。そう言った言葉も。

ただいまとか、おかえりとか、


愛してる、とか、わたしも、とか。