今思うと、そのタイミングでよかったって思う。


だって、もしあの時仲森さんが出ていたら、彼が家にいたことが知られてしまうもの。




「その時はただ寝ていると思ったんだ。“一人で”」


ジョンは最後の“一人で”を異様に強調してくる。


もしかしてバレてしまったのだろうかと、探るようにジョンの表情を盗み見た。




「まさかその時、仲森さんまで麻菜の家にいるとは思いもよらなかったけど」

「ジョン、どうしてそう言い切れるの?仲森さんがわたしの家にいるところを見たわけでもあるまいし」


「まぁ、確かに家にいるところを実際に見たわけじゃないよ。でも見たんだ。次の日の朝、麻菜の家から出てくる仲森さんを」

「う、嘘……」



まさか本当に見られていたなんて……

これじゃあ、言い訳のしようがなくて、黙って俯くしかない。




「やっぱり朝まで仲森さんと一緒だったんだ?」

「あの……だから、それは……」


「仲森さんは看病してくれただけ?」

「確かに仲森さんは朝までいたけど、本当に看病してくれてただけだから」