騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~




どうして泣いていたなんて、どうやって話したらいいのよ。


秀ちゃんと幸さんの仲を知っていたから。

昨日、二人がキスしているのを見てしまったから。


そんなことなんて言えるわけないじゃない。



「お願い、教えて。宮城が言ってたんだ。麻菜を不安にさせてるって。何が麻菜を不安にさせてるのか教えてほしい」


春菜がそんなことを……


でも。



「ごめんなさい、秀ちゃん。話せないよ」

「麻菜、頼むから……」


切なそうに囁いた秀ちゃんは、そのまま手を引いてわたしを抱きしめようとした。