ケーキを焼きながら朝食の支度をしていると、いつもよりかなり早い時間にランシュがキッチンにやってきた。

 結衣は驚いて声をかける。


「どうしたの? 今日は早いのね。眠れなかった?」


 何気なく発した言葉に、ランシュはクスクス笑う。


「うん。毎日眠れないよ」
「あ……そうだったわね。つい……」


 結衣が苦笑すると、ランシュは少し気まずそうに言った。


「今日はちょっと先生に話があるんだ。それで手伝う事が出来ないから、ごめんね」

「そんなの気にしなくていいのに。ロイドはまだ眠ってると思うわ。私の代わりに叩き起こしてかまわないから」

「それは後が怖いな」


 二人で顔を見合わせて、同時にプッと吹き出す。