王宮内の研究室で臨床試験中だった自作マシン、広域人物捜索装置を使用した時、マシンの中に現れたのが、殿下にそっくりな容姿をしたユイだった。

 広域人物捜索装置は入力した検索条件に基づき、人物に限定して検索結果を返すマシンだ。
 オプション機能として、限定されたターゲットを装置の中に転送することも出来る。

 名前が長すぎると言って、ユイはこの装置のことを人捜しマシンと呼んだ。

 当時は原因不明の誤動作によって、ユイが転送されたと思っていた。

 殿下の行方は分からないまま、誤動作の原因を探っていくうちに、ユイはロイドにとってかけがえのない存在となっていた。

 結局ユイが転送されたのは、マシンの誤動作が原因ではないことが判明し、殿下も無事に発見された。

 ユイがニッポンと行き来するためにマシンは改造され、今では座標さえ分かれば異世界からの転送も、逆に送り出すことも出来るようになっている。

 いつでも会うことが可能になったユイとロイドは順調に愛を育み、一年ほど前に結婚して、今はクランベール王国の首都ラフルールにあるロイドの家で一緒に暮らしている。