「顔色が優れません。あなたに倒れられると皆が困ります。急ぎの仕事は、ほぼ片がついていますので、今日は早めに上がってください」


 いつも今日の仕事は今日中に片付けろとうるさいフェティが、早く帰れというのが珍しくて、ロイドは思わず彼女を見つめた。

 いや、元々フェティは、いざという時は、いつもロイドを気遣ってくれる。

 ランシュが違法なロボットを作ろうとしていた時もそうだ。

 止めようとしないランシュを、ロイドは最後まで説得に当たろうとしていた。
 それを知ったフェティは、ロイドの立場まで危うくなると判断し、ランシュの免職を促したのだ。

 設計図は完成しようとしていた。
 それだけで、充分違法なのだ。
 説得しようとしていたとしても、他の者に知られれば、知っていながら見逃した事になってしまうだろう。

 フェティが早期に判断してくれたおかげで、ロイドは職を追われる事を免れた。

 そのせいでフェティは、ロイド以上にランシュの恨みを買う事になったのだが——。