ロイドが出かけた後、いつものように掃除と洗濯を済ませて一階へ下りると、ランシュがリビングのテーブルの上に、ロイドから受け取った箱の中身を広げていた。

 結衣がリビングに入ってきた事も気付かずに、設計図と部品を見比べている。

 ベル=グラーヴと暮らしていた時はすっかり忘れていたと言っていたが、ロイドの側に戻って来て、機械好きの血がまた騒ぎ始めたのだろう。

 水を得た魚のように生き生きとした表情に、結衣は思わず目を細めた。

 夢中になっているようなので声もかけず、結衣はそのままキッチンへ入った。
 ランシュが作りかけて置いていたメレンゲを完成させて、シフォンケーキを作り、オーブンに入れた。

 リビングに出てくると、ランシュが初めて気付いてこちらを向いた。


「楽しそうね」


 笑いながら声をかけると、ランシュはハッとしたように立ち上がった。


「あ、ごめん。オレ、作りかけだった」
「続きは私がやったから大丈夫よ」