***


次の日、朝起きるとサクはもう仕事に出掛けていた。

サクの家で目覚めることが日常になっているけど、私はいつまでここにいられるのかな。今まで何度も考えたけど、やっぱり答えは出ない。


そして支度を終えて、サンセットに向かう道の途中で聞き慣れたバイク音が近づいてきた。


「おはよう麻耶ちゃん」

相変わらず目立つ格好でガラの悪い無数のピアスをした鉄さん。

鉄さんを見ると少しホッとする。だって唯一、
サクのことを相談できる相手だから。


「なんか久しぶりだよね。通勤中にこうやって会うの」

そういえば最初の頃はしょっちゅう一緒になって、バイクで送ってもらったこともあったっけ。

「乗ってく?」

鉄さんはそう言ってバイクの後ろを指さした。
私は少し考えたあと、鉄さんに歩み寄った。


「あの……ちょっと話したいことがあるんですけどいいですか?」

鉄さんとはほぼ毎日顔を合わせてるし、話だってサンセットに着けばいくらでもできる。でも誰もいない場所で鉄さんには打ち明けたい。