尚さんが帰ったサンセットは通常営業に戻ったけど、鉄さんだけは心ここにあらずって感じだった。


「……鉄さん大丈夫ですか?」

カウンターの中に入って作業をしている鉄さんに近づいた。


「えー?大丈夫って?」

「……いや、ぼーっとしてたので」

鉄さんが考えてることはなんとなく予想がつく。

それはきっと今後のトワイライトのこと。


「うーん、まあね。尚のヤツがヘンなこと言うからさ」

尚さんがどれぐらい本気で言ってたかは分からないけど、たぶん試しているのかもしれない。

トワイライトは本当に終わったのか、それとも……。


「……あの、私が口出しする問題じゃないんですけど……。サクもやっぱり昔はプロを目指してたんですか?」

これはけっこう大事なことだと思う。

今のサクはそんな素振りを見せないし、今以上も今以下も望んでない気がするから。


「ってかあいつが一番プロになりたがってたよ」

「え?」

「音楽の世界で勝負したいってずっと言ってたし」


サクがそんなことを?

あまり自分の意見を言わないサクがそんなにハッキリと言うなんて本気だったんだね。


「……まあ、今はどう思ってるか分からねーけど」