そんなことを考えてたら帰るのが遅くなって、
家に着くとサクが出迎えてくれた。
「ノラおかえり。今日は遅かったね」
サクに罪悪感が芽生えて顔が見れない。
「……そ、そう?いつも通りに帰ってきたんだけどな」
私は不自然なほど挙動不審になり、そのまま家の中に入ろうとするとサクが右手で私の行く手を制止した。
「なにかあったの?散歩でも行こうか」
「え?さ、散歩?」
私の返事を待たずにサクは靴を履いて私は外に連れて行かれてしまった。なぜか腕は掴まれたままで、私は渋々サクの後ろを歩いた。
「ちょうど夕暮れ時だね。ほら、見て」
車が行き交う道路の向こうから暖かい夕日が沈んでいく。
とても綺麗だけど、今は素直にそう思えない。
「……ねえ、ノラ。こういうのなんて言うか知ってる?」
サクが私を見て微笑んでいた。
その顔がキラキラとしていて、サクがいつものサクじゃないみたい。
「黄昏って言うんだよ」
うん、知ってるよ。
黄昏、トワイライト。
サクが付けた名前でしょ?
私も大好きだよ。
でもサクにとってこの黄昏時もツラいことじゃない?
私に気を遣ってムリして笑ってない?
そんなマイナスなことばかりが頭に浮かんでくる。