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次の日、私は寝ているサクを起こさないように家を出た。出勤時間まではかなりの時間があるけど、今の私には丁度いい。


昨日のサクの涙は見間違いではない。

たしかにサクはなにかを思い出して泣いていた。

その理由なんて分かるわけないのに、私は布団の中でずっと考えることしかできなかった。


「はあ……」

大きなため息をついた頃、私はサンセットに到着した。

ゆっくり歩いていたつもりだったのに開店時間まではまだまだ時間がある。私がドアに手をかけると、それは静かに開いた。

……鍵がかかってないってことはもう誰か来てるのかな?


恐る恐る店内に入ると中はシーンと静まり返っていた。

やっぱり誰もいない。当たり前だよね。まだ時間が早いし。

鉄さんか誰かが鍵をかけ忘れたんだと思っていると、スタッフルームから怪しい物音が聞こえた。

――ガタンッ。

だ、だれかいる……?もしかして泥棒?


ものすごく怖かったけど今は私しかいないし、
大切な物とかが取られたら大変だ。

私は忍び足でスタッフルームに近づき、深呼吸してドアを開けた。