雑賀孫市重初<仮>





「女?一族の者ですか?」



「いんや、どっかの姫さんらしい。……高そうな着物だったし、髪にも艶があったんだよな。確か名前は……千、だっけか?」




女の名前を聞いた後、秀実は眉を寄せ、浮かぬ顔で襖を後ろ手で閉めて重初の前に正座した。





「その一部始終をお話下さいませ」




いつにない真面目な顔つきの秀実を見て、重初も表情が堅くなる。

とりあえず、自分が千と会った経緯から話し始めた。











「──…なるほど」



全てを話し終えた重初から視線をそらし、思案に暮れた面持ちで秀実は腕を組んだ。






「……なんだよ、秀実。お千を知っているのか」




いつまで経っても自分の意見を言わない秀実に痺れを切らし、重初は催促した。


一方、秀実はまだ腑に落ちていないような顔をしている。


彼自身、まだ推測される話に納得がいかないのかもしれない。





「重初様……」





やっと重い口が開かれる。


重初は身を乗り出すかの勢いで秀実の次の言葉を待った。






「そのお千殿はお綺麗でございましたか?」



「……ああん?」