齢は同じだが、雪那の身体が弱いこともあって、秀実自身も若干身体が弱かった。
だからひと昔は互いの体格が一回り異なっていた。
今はさほど感じられないが、当時の秀実の身体は誰が見ても細く、骨が見えてしまうのではと噂されたほどだ。
そんな乳飲み子だが、共に過ごした時間が長い所為か二人は誰よりも信頼し合っていた。
たとえどんなに強い人を召し使わそうと臣たちが推奨しようとも、重初はそれを諾とは言わず、秀実を側に置いた。
そんな信頼を受けて、秀実は少しでも主の役に立とうと鍛練に励む。
その甲斐あってか、今では重初の右腕とまで呼ばれるようになったのだ。
そして、その右腕が現在泣き虫顔で主を睨んでいる。
「まあまあ、そんな睨むなって」
さっきまで俯いていたのに、何を思ってか、今度は非難めいた瞳でこちらを向いている。
もっとも、その瞳は依然として潤んでいるが。
「私は貴方さまが心配で心配で……」
「悪かったって。ちょっと忘れちまっただけだからさ」
「こんなにも敬愛する者を忘れたと言うのですか……!」
「あー……」
この場合自分が何を言ってもただ返されるだけだと感じた重初は、手に持つヤタガラスにため息をついてから天井を見上げた。
「すまねぇな。途中で女に会ってよ……」


