……そう、近寄るのだ。
なのにこの女の話を聞くほどこいつだけは違うのではないかと考えてしまう。
「蝶を捕まえたら、わたくしも彼方へ飛んでいけるような気がして……」
「────…ぶっ!」
「え?」
「ぶぶっ。アハハハッ、アハハハッ!お前、面白いこと考えるんだな」
なるほど。
こいつはそう疑うだけ無駄なんだ。
根から優しくて、これが彼女の素なんだ。
「わ、笑わないで下さい!わたくしだって本気なんです!」
「わーってる。本気なのはわかってるさ、お千」
もう疑うことは止めた。
こいつは俺たち雑賀一族の女たちに似ているんだ。
信用できる女なんだ。
重初はにかっと笑い、千の頭を撫でてやった。
「安心しろよ、城下まで連れて行ってやるから」
「あ、ありがとうございます」
千の髪は柔らかかった。


