さすがにあのときの家康の行動には驚いた。
確か、徳川軍は外堀を埋めて、豊臣軍は内堀を埋める話で意見がまとまったはずなのに、家康は豊臣側の堀が進んでいないのを見て全部埋めちまったんだ。
横暴すぎる。
そう思ったのと同時に、こいつだけは背中を見せちゃいけねぇと思った。
けどよ、俺たち雑賀一族はその家康に追われている。
俺が束ねる『雑賀衆』が滅法強いから恐れているんだ。
と言っても、その雑賀衆も関ヶ原に向かった所為で半数以上を失ってしまったがな。
もう戦力なんてありゃしねぇんだ。
だから、秀実含めた一族皆は強かった雑賀衆の誇りを棄てて平和に生きようとしている。
この俺、初代孫市と同じ力を持つ『先祖返り』が生まれてもその考えは変わらなかった。
だから冬にあった大坂城の籠城戦には加わらはなかったし、きっとこの先大きな戦があっても参加はしないだろう。
俺は、それが何より悔しい。
負けた家康にもそうだが、何もしないでただ城に籠もっている秀頼様にでさえも負けた気がしてならない。
それが、滅法……悔しい。


