────
──────
……ヤタガラスが疼く。
俺の八咫烏だって負けちゃいねぇが。
『ハヤク、ハヤク』
そして、そのヤタガラスが俺を誘うように鳴くんだ。
──…秀実が言っていた通り、銃声ってものは意外に遠くまで響いてしまうものだ。
追われる身である俺たちにとっては自殺行為とも受け止められるだろう。
関ケ原より、西軍が負けてから十数年が経つ。
俺は関ケ原の戦いがあった年に生まれたから、その詳細は知らないがな。
何しろ教えてくれる前に父上も母上も仏になっちまったんだ。
その戦がわずか数刻で勝敗がついてしまったことぐらいしか知らぬ。
年越す前では大阪城で激しい攻防戦があった。
……まあ、籠城と言ってもいいのかな。
秀頼様と淀君は大坂城に絶対の自信があったみたいで、落城することはないと考えていたみたいだ。
でも家康の考えがそれを上回った。
地上が駄目なら空から、と言ってあろうことか城にいくつも大砲を打ち込みやがった。
女の園に近い大坂城はだいぶ疲労してたんだろうな。
最終的には和睦した。
───大坂城の外堀も内堀も埋めて。


