翔ちゃんは学年5位には入る頭脳の持ち主。だからよく翔ちゃんの所には、男女問わず勉強を教えてもらいに来ている。
多分あの子もその一人なんだろうなぁ…。
ご飯を一口、口に運びながら、ボーッと二人を見ていたら。
「あははっ翔太くんおもしろーい!」
「……!!!?」
あり得ない状況に、大きく目を見開いて固まってしまった。
笑ってる。笑ってる!翔ちゃんが笑ってる!!
嘘でしょ!?ついにあたしは幻覚まで見える才能を持ってしまったのか!?
あんぐりと口を開けて、力の抜けたお箸から、卵焼きが重力に引っ張られて床に落ちていった。
「ありがとう!また聞きに来るね~♪」
「んー」
女の子は笑顔で手を振って、教室を出て行った。
あたし、溝口里美17歳。
翔ちゃんと付き合って4ヶ月の彼女。
まさかの彼氏の初笑顔は、他の女の子に向けられたものでした。