「…翔ちゃん?」 また涙が一粒零れた時、やっとこっちを見てくれた翔ちゃんの顔は真っ赤で。 目線だけあたしに向けて、鼻から下は膝の上に組んだ両腕で隠れてる。 「…しょ…ちゃん…?」 初めて見る表情に、胸がキューッと締め付けられた。 「…だーっもうっ!」 「……!?」 今度は、さっきよりビックリして。 グイッ、と力強く引っ張られた腕。あたしの体は、簡単に翔ちゃんの腕の中。 状況を、理解出来なくて。 耳に心地よくこだまする翔ちゃんの心臓の音が、あたしと同じくらい速いことにまた驚いたんだ。