お抱え運転手など大勢いて、たまたま俺自身、岩原に仕えているというだけである。


 その日の演説会が終わり、午後三時過ぎ、岩原がSPに囲まれて戻ってきた。


 SPの一人が車の後部座席を開け、スーツ姿の岩原が車内へと入ってくる。 


 黙り込んでいた。


 次の指示が出るまで。


「堀原」


「はい」


「今から有権者と新宿のホテルで懇親パーティーがあるから、車出してくれ」


「分かりました」


 頷き、エンジンを掛けてハンドルを握る。


 そしてゆっくりとアクセルを踏み込んだ。


 俺も気掛かりなことは山ほどあるのだ。


 大体、政治家の車の運転手など代わりはいくらでもいる。