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 車を降りた岩原は数人のSPに囲まれ、憲政記念館内へと入っていく。


 俺もそれを横目に見ていた。


 手にはノートパソコンを抱え、すでにコンタクトを取った国会議員たちと一緒に館内へと入っていき、これから演説をするらしい。


 岩原はしたたかな男だ。


 長年ずっと接してきているので知っている。


 まあ、単にお抱え運転手としているだけだったが……。


 それに政治家の考えていることは分からない。


 俺もいろんな意味で、岩原が一癖も二癖もある人間だと思っていた。


 何があの男を駆り立てるのか……?


 正直なところ、よく分からないのである。


 俺も日中はずっとハンドルを握り続けていた。


 さすがに暑い。