49
 それから二日間、ずっと藤井のお抱え運転手をしながら考えていた。


 岩原の下に行くべきか否か。


 確かに岩原が次の衆院選まで立候補するとは考えにくい。


 どう考えても、選挙に出ない可能性の方が高いのである。


 だが、気にしていた。


 あの人間は確かに金に汚いのだが、福原や藤井など小粒の政治家に比べれば、何かしらの魅力がある。


 それを察せるからこそ、また旧主に戻る可能性も捨てきれないのだ。


 いくら逮捕されて保釈中の身であったにしても、あの人間の行動に他党の議員やマスコミは注目している。


「また岩原先生がしかるべき立場に立たれれば、政界が変わる」と。


 ただ、俺も思っていた。


 次の総選挙に立候補しなければ、もう影響力はないと。