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 その日、藤井を国会内の事務所に送り届け、またずっと待ち続けた。


 車の中は暖房を入れているのだが、思うように利いてなくて、足元が冷える。


 俺もラジオで国会中継を聞きながら、スマホを見ていた。


 ずっと藤井に仕えていて、そんなに変わったことはない。


 ただ、いずれ社自党への復党を考えているようなので、俺もその件に関しては承知していた。


 待ち続けていたのだが、二月の東京はまだ冷え込みがある。


 不意に持っていたスマホに電話が入ってきた。


 着信窓には確か以前削除したと思われる番号が明滅している。


 もしかしてと思いながらも、通話ボタンを押して出た。


「はい、堀原です」


 ――ああ、君か。俺だ。岩原だ。


「ああ、先生。……なぜいきなりお電話を?」