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 それから二日間、いつも通り岩原の自宅前に来て、国会や都内の集会場などに送り続けていた。


 俺もしんどいのだ。


 政治家のお抱え運転手はそんな仕事である。


 それにしても岩原が自分の地元事務所で開いた二億円の事務所経費問題は、国民にほとんど
伝わってこなかったらしい。


 現に事務所には多数の苦情の電話やファックスなどが殺到し、事務所側としても、鋭意対応中としか言いようがなかった。


 俺も主に対し、同情する向きはある。


 だが、なぜ東京の記者クラブじゃなくて、あえて岩手の地元事務所を選んだのか……?


 判然としない。


 これがこの男のやり方である。


 姑息だと思えた。


 多分、地元事務所で詰めている秘書たちと謀議し、会見の手口を考え付いたのだろう。