愛人の光岡との疑惑である。


 いくら私生活とはいえ、こういった問題はマスコミにとって叩き甲斐があるのだ。


 メディアの厭らしさは分からないこともない。


 ただ、光岡が岩原と夜を共にしたことで、愛人疑惑は一気にクローズアップされた。


 確か、光岡は写真の入ったデジカメを週刊誌を刊行する出版社に送り付ける手筈でいると聞いていたのだ。


 まあ、俺にとって仕えている人間に火の粉が降りかかってくるだけで、痛くも痒くもなかったのだが……。


 それに実際、岩原が二つの疑惑をどう説明するか、見ものだった。


 事務所から車へと戻ってきた岩原が、


「堀原、今から急遽地元に戻る。東京駅まで送ってくれ。それから新幹線で帰る。いいな?」


 と言ってきた。


「分かりました」


 頷き、車を出す。