立ちたい場所に居ない悔しさは、一度で十分だったのに。

ーーピンポーンッ



「恵央斗君が来たかな」



「俺が行くから、座ってろよ」



「悪いな」



我が家が我が家に感じない。

パパはそんな事、思わないだろうけど。

ダイニングチェアに座り、寂しさやイライラなど、込み上げる気持ちを、唇を噛んで堪える。



「お邪魔します。ご無沙汰してます、おじさん」



しかし、どこか聞いた事ある声に顔を上げた。