タオルをかけられている様子が頭に浮かび、笑みが零れた。

きっと恋千くんのことだから、悪戯な笑顔で誠をからかったのね。


そういえば、みんなはどこにいるのかしら。


「あなたが倒れてから、大騒動でしたよ。
今は里音が夕飯の支度を始めています」

あたしの心を読んだかのように、誠はみんなが何をしているのか説明してくれた。



そういえば、誠は?

洋館にいて大丈夫なの?

お家に帰らないと、ご両親から注意されたりしない?


ちょっと心配になり彼を見ると、柔らかい笑顔をくれた。


「疲れていたんでしょう。
今日はゆっくり休んでください」


そう言うと、布団を直してくれた後でドアノブに手をかける。


「もう行っちゃうの?」

なんだか寂しくて、引き止めてしまった。

そんな早く出て行かなくても。

まだ来たばっかりなんだし。



「あなたの様子を見に来ただけですから。
元気そうで何よりです」


呼び止め虚しく、さらっと告げてから扉の閉まる音が響く。

静かな部屋で布団に潜っていると、想像以上に暇だ。