嫌だ、嫌だ、嫌だ―・・・


ノエルは必死に森へと走った。

汗が首筋をつたい、服がべっとりとはりついて気持ち悪い。


それでもノエルは足を止めずにただひたすらに森への道を走った。



「・・・?」



走り続けて何かおかしいことに気がついた。

走っても走っても森にたどりつかない。

それどころか同じところをぐるぐる回っているような気がした。


ノエルは足をとめると肩で息をしながら状況を確認した。



「・・・しまった」


そして、そう小さく呟いた。


いつの間にしかけられたのか、ノエルの靴には魔術がかけられていた。


きっと、父がこんな事態を予想してあらかじめかけておいたんだろう。



「くそっ・・・何で気がつかなかった!」



ノエルは一人怒鳴ると靴を勢いよく脱ぎ捨てた。



はやく、早くしないと―・・・!