夏の月夜と狐のいろ。




「逃げて!!ツキ!!!」


シアンは必死になって叫ぶ。


一発の銃弾が、ツキの肩をかすめ
血がふきでるのが見えた。


ツキはバランスをくずしながらも走っていく。


血のあとが、てんてんと続いた。



スピードをおとしたツキに、人間がせまり
一気に銃声をあびせた。



ツキは撃たれ、ころころところがっていった。



「ツキ!!!ツキ!!!」


転がっていったツキの姿は窓からみることができなくなり
ただ、ツキから流れたのであろう血だけが雨水にまざって流れてくる。



その量は、大量だ。


人間たちの姿も窓から見える範囲から消え、
何も見えなくなった。



ただ銃声が2,3発再び響き、
狼のような遠吠えと何かを引き裂く音が響き、あたりは静まり返った。



あたりは真っ赤に染まり、流れる雨水を真っ赤に染めている。



「いや・・・・ツキ・・・!」




ツキの脱走は、失敗したんだ―・・・