夏の月夜と狐のいろ。




―あれから数ヶ月が過ぎた。


図書室の本は半分くらい読んだだろうか。


いつも部屋に食事をもってきてくれるのはシロで
あれ以来ラシッドとは顔をあわせていない。


クロはたまに本を読みに来るが
とくに話をすることはなかった。


ただ、前にはみせなかった悲しそうな瞳を
シアンに向けてくるくらいだ。


クロも、昔こんなことをされたの?

何度もそうきこうとしたが
クロの悲しそうな瞳を見るときけなくなってしまった。





毎日繰り返される見せ物ショー。

一週間に一度は、誰かが殺される。


シアンはいつもそれを胸をしめつけられるような思いで見ていた。




ツキがあれから一度、見せ物ショーに出た。

そのときは、気が狂いそうだった。



恐怖で胃がしめつけられた。



結局は大怪我を負ったツキは死ななかった。
そしてまた、あの牢屋にひきずられていったのだろう。


あれから、シアンはいつも恐怖にふるえていた。



次が、3回目だ。


次にツキは殺されてしまう可能性があるのだ。