夏の月夜と狐のいろ。




「確か、図書室で寝ていたような気がします。」


シロが無感情にそう答えるとラシッドは小さく舌打ちした。


「いつまで寝てんだ、あいつは…
…まぁいい、どうせ図書室に用事があるんだ。」


ラシッドはそういうとくるりとシアンのほうへ振り返った。



「おい、狐…シアン、だったか?
俺についてこい。お前にはやることがある。」



ラシッドはきらっと不敵に赤い瞳を光らせた。


シアンはその瞳にすこし身震いしながらラシッドのほうへ駆けていった。



これ以上何をしなければならないんだろう。


ツキみたいにひどいことされなければいいけど。


シアンは少しみじめな気持ちのまま大人しくラシッドについていった。