夏の月夜と狐のいろ。




しかし、シアンが眠りにつくまえに乱暴に扉が開かれた。


大きな音にシアンはびくっと体を起こす。



いきなりの明るさに目が慣れず、よくわからなかったが、ツキがもどってきたようだ。


安心したのと同時にシアンはぞっとして目を見開いた。


血の、鉄さびのにおいが部屋中に充満する。



ツキは乱暴にまた、シアンの横の牢屋になげこまれた。


「あぐっ・・・・」



ツキが苦しそうに呻く。


怪我をしてるのにひどいじゃないの!


シアンはそう思ったけれど恐怖で声はでなかった。



人間がでていき、再び部屋に静寂がもどる。



ツキのゆっくりな息づかいだけが部屋にひびき血のにおいが部屋を満たす。