夏の月夜と狐のいろ。




牢屋から引きずり出されたツキはしばらくばたばたともがいた。


すると男が苛立ったようにツキのお腹をおもいきり蹴りつけた。


シアンは、思わずびくりと体をすくませて小さく悲鳴をあげる。


ツキはぐったりと動かなくなった。


男は満足そうに笑みをうかべツキをドアの前まで乱暴にひきずっていく。


ツキの長い、茶色の髪が地面にひきずられ、手足もだらんとひきずられている。


気絶しいているようだ。



扉が開かれたことでやっと気がついたのだが、ツキの体にはあちこち傷や痣があった。



ここでは、いったい何が行われているの・・・?



シアンがぞっとしたように見ていると男はこっちを一度ちらりと見た。


「お前も逆らったらこうなるんだぞ。
ようく覚えて目に焼き付けておけ。」



そういうと男はツキをつれて出て行ってしまった。