リリィは嬉しそうにぱたぱたと尻尾を振った。


『シアン様なんですね・・・!ああ、よかった・・・私もう、二度とシアン様に会えないかと』


リリィの切れ長の瞳がうるうると揺れた。


シアンは、優しくリリィを撫でる。


「ごめんね・・・私もリリィとまた会えてとっても嬉しいわ」


リリィは嬉しそうにしていたが、不意にびくりと身体をこわばらせた。

その視線の先に、ノエルが居た。


疲労した顔をしていたノエルが、困惑したようにシアンを見た。
藍色の瞳が戸惑うように揺れている。



リリィは、ノエルが人間だから襲っていたんだわ!

気がついて、あせってリリィを再び撫でながらシアンは言った。



「大丈夫よ、この人間は他の人とは違うの。私の命の恩人で、友達よ」


そうシアンが言うと、リリィは少し警戒を解いてノエルを見た。


『シアン様を・・・助けてくれたのですか』


ノエルは、曖昧にうなずいた。