「大丈夫よ、リリィ。私は戻ってきたから。」



すさまじい電流が身体を襲う。

なぜか大きな傷は負っていなかった。


『シアン、さま・・・?』


触れた瞬間リリィの緑色の瞳が、ゆらゆら揺れた。

その目が潤んで、その身体から揺れる電流が温かく変化する。



「もう大丈夫よ、リリィ・・・ね、落ち着いて・・・」


シアンのその言葉とともに、リリィの緑の瞳をゆっくり閉じ、その身体の力がふっと抜けた。

気絶してしまったらしい。


あたりの電流も消え、少し離れたところでノエルが安堵のため息をつくのが聞こえた。


シアンはそのままリリィを抱きかかえ、ゆっくりとノエルの元へ歩いて行った。



「大丈夫か?こいつは知り合いか?」


後ろから心配そうにクロがよってきて、鼻先でリリィ触れた。

シアンはこくりと頷いてその場にへなへなと座り込む。


するとノエルが傍に来て心配そうにこっちを見つめながら、声をかけてくれた。


「シアン?怪我はない?」


シアンは自分の身体を見て、ゆっくりと頷く。

あんなにも電流をあびたはずなのに、身体には傷ひとつない。



きっと、リリィが私に気がついた瞬間にゆるめてくれたのね。
シアンはほっとした。



ゆっくりと、ひざの上にのせたリリィを撫でると、その体はやせほそっていていつも綺麗でつややかな黒い毛はバサバサだった。


「よかった、生きてて・・・リリィが、居てよかった」


シアンがぎゅっとリリィを抱きしめると、リリィがかすかに身じろぎした。


『シアン、さ、ま・・・・』