森の中心につくと、もうほとんどの森の狐たちが集まっていた。
その中心にいるのは、白銀に輝く美しく、あまりに巨大な狐だ。
シアンも、まわりの狐たちよりは九尾狐なので大きいが
この狐にはまったく敵わない。
その大きさは森の大木に等しいくらいに大きく、
毛並みはきらめく銀河のごとく輝いている。
シアンはせいぜい、大きい虎くらいの大きさだろう。
シアンと同じ九本の尾をもち、
目もシアンと同じく綺麗な青色で、その瞳は千里眼の力をもっている。
その狐こそお父様のティアドールだ。
『来たか、シアン、リリィ』
お父様は、シアン達が着くなり地を這うような、けれど
美しく澄み渡った声で、そう言った。
「はい、お父様!」
シアンが返事をすると、
お父様は満足そうに大きな尾をゆらす。
『では、話をはじめるぞ。』

