夏の月夜と狐のいろ。




――――――



「気をつけろよ」


数日後、シアンたちはウルーの小屋の前に居た。
ノエルの足はすっかりよくなったので、お別れをするためだ。



シアンはウルーにぺこりとお辞儀をした。


「本当にありがとう。またいつか会えますように。」


シアンはそういうとくるっとウルーに背を向けた。

横でクロとノエルもウルーにお別れを言って着いてくる。



少しだけ振り向くと、ウルーは少し寂しそうな顔をしていた。



あとできいたのだが、ウルーはツキを助けた後しばらく一緒に暮らしていたらしい。
ツキは自分に対しておびえないし、慕ってくれていたと言った。

けれど、ツキが病気になって、泣く泣く人間の住む町に連れて行ったそうだ。



それ以来、ツキとはあっていないらしい。

・・・きっとウルーは寂しいのよね。
そう思うと少し悲しくなった。



ツキがウルーの元に戻ってきますように、と祈りながらシアンは前を向いた。



今は、狐の森を目指さないと・・・!