夏の月夜と狐のいろ。




「仲直りはできたか?お前らのためではないが、僕もシロを助けたい。ついでに手伝ってやる。」


クロが横に来て、微笑む。
シアンは微笑んで、こくりと頷いた。



しばらくそうしていたが、シアンはくるっとウルーのほうを振り向いた。
ウルーが首を傾げる。



「狐の庭に帰るには、ここからどう行けばいい?」


シアンは、そうたずねた。

正直、あの燃え尽きた我が家をみるのはとても嫌だった。
だけど、まずは一度そこに戻って現実や状況を見たかった。


何か、手がかりもあるかもしれない。


ラシッドの手の内にいること以外、お父様がどこに居るのかはわからないのだ。



ウルーは近くの紙をとると、さらさらと何かを書いた。



「地図だ。そんなにややこしくない。砂漠だからな。方向を見失わなければ大丈夫だ」

シアンはその紙をうけとると、ぺこりとお辞儀をした。



「ありがとう・・・!私たち、ノエルの足が治ったらすぐに行く。」



ウルーは頷いた。


「俺はここを離れられないからこれぐらいしかしてやれないが。
好きにつかっていい。ゆっくり休んで行っていいぞ」