夏の月夜と狐のいろ。




「ノエル・・・!」


シアンはノエルに駆け寄った。

けれど、少し手前でぴたりと止まる。



ノエルは予想していたかのように真剣な顔つきになった。
そして、真剣な声で言う。


「君の森を守れなくてごめん。でも俺は一度だってあの魔術師たちを仲間だと思ったこともない。あんな奴ら、仲間じゃない。」



ノエルはベッドから立ち上がると、傍へ来た。

そして、シアンの頬にそっと触れた。


「お願い。俺を信じて。」


シアンは、藍色の瞳をじっと見つめた。


ノエルの目は真剣。
それにノエルが嘘なんてつくわけない。



シアンはこくりと頷いて笑った。


「うん、信じるよ」



シアンは心に誓った。
絶対お父様を取り返して、そしてノエルも一緒に、またあの森で暮らすんだ。