夏の月夜と狐のいろ。




ウルーは黙ってこっちを見つめている。


シアンはぎゅ、っと服のすそを握り締めて続けた。



「森は人間に燃やされてしまった。仲間たちもどこに行っちゃったのかわからないわ。
お父様も人間に捕らえられて・・・」



それ以上は、言えなかった。

シアンはその場にうずくまった。


お父様や、リリィの顔が浮かぶ。


「もう、会えないかもしれない・・・!」


シアンはぽろぽろと頬を伝い始めた涙を止めることはできなかった。


あそこは、長い長い時間シアンが過ごした大切な場所だったのだ。




誰も何も言えずにいると、ウルーの後ろから声がした。



「シアン、君のお父様をとりもどそう。絶対取り戻せるよ」


全員が、驚いて振り向いた。


いつの間にか目を覚ましたノエルが、ベッドの上で微笑んでいた。