「シアンさまぁっ!!!!どこに行ってたんですかぁぁ!!!」
湖のほとりに戻ると、そんな半泣きになりながら叫ぶリリィにむかえられた。
リリィにぺしぺしとしっぽで頬を軽くたたかれる。
「ごめんなさいリリィ。だってリリィが寝ちゃったから、暇だったんだもの。」
シアンがそう言うとリリィは全身の毛をふわっと逆立てて言った。
「起こしてくださいよぉ・・・心配したんですよ!!!」
リリィは琥珀色の瞳で、涙目になりながらこっちを睨み、
ようやくシアンの肩からとびおりると言った。
「次からは起こしてくださいね?あ、あとティアドール様から
みなさんにお話があるらしいです。森の中心にあつまるように、って。」
リリィはそう言うと少し先立って歩き出す。
シアンはすこしどきっとした。
おはなし?
まさか、人間のこと?もしかして、森に入ったノエルのこと?
お父様に、ばれてなきゃいいんだけど。
シアンはふわりと狐の姿にもどるとリリィのあとを追って、
森の奥に駆け出した。

