夏の月夜と狐のいろ。



その不思議なたべものは、甘い香りがした。


シアンは、それをゆっくりと口にはこんでみた。


「おいしい!!」


ぶわっ、と尻尾が無意識に揺れ動くほど、それはおいしい。

人間はこんなもの、食べてるのね!


シアンはゆらゆら尻尾を揺らしながらそれらを食べおえると、
今度は花の髪飾りをみつめた。


薄紫色の、きれいな髪飾りは夕暮れのたいようにきらきら反射した。


シアンは自分の髪の、わっかに結んだところにそれをつける。


「えへへ・・・すごい、きれい!」


シアンはその場でくるくるまわる。



明日も、会えるかな。また会いたいな。



そんなことを考えながら、シアンはぴょん、と木をわたった。


そろそろ戻らないと、リリィが心配しているはず。



シアンは上機嫌で木の上を飛び跳ねて森の奥にもどっていった。