ますます白ヘビの機嫌が悪くなった。


「こんなもの手みやげに持ってくるヤツがいるかい」

「勝手について来たんじゃ」

「やれやれ・・・」


するするする・・・


白ヘビは、怨霊としま子に近づいた。


ちょっと!

むやみに近づいたら危ないっ!


「さぁ、あんた達。もうお帰りよ」


怨霊たちに気軽に話しかけている。


まるで、夕刻過ぎても公園で遊んでいる子ども達を、たしなめるように。


「ここは、あんた達のいて良い場所じゃないからねぇ」

「・・・・・」


ドロドロとうごめいていた怨霊達の動きが、ピタリと止まる。


白ヘビが近づくと、ズルズルと後退し始めた。


「あんた達の気持ちは分かるけどねぇ」

「・・・・・」

「自分の立場は、わきまえなよ」


怨霊達は、どんどん後退する。


しま子の体内に入り込んでいたモノも、音をたてて戻りだす。


「あたしが分かってやるから、もういいじゃないか」


怨霊達はズルズルと戻っていく。

扉の中へ、次々と。


そして、全てが扉へと消えていってしまった。