この場にまったく似合わない、ひどくのんびりした口調だった。


誰っ!? 誰なの!?


・・・・・・・・・・・・。


あれ? 誰もいない?



するするする・・・


静かな、衣擦れのような音が近づいてきた。

音の方向を見る。


それは一匹の、小さな白いヘビだった。


細い細い、極細の金の筋が、体に何本も走っている。


濃紅なルビーのような目。


それらが、ちらちらと闇夜に光っていた。


「おや、絹糸じゃないかい?」


その白ヘビが絹糸に話しかけてきた。


「白妙(しろたえ)」

「その名であたしを呼ぶんじゃあないよ」


機嫌が悪そうな声を出して、あたしと門川君を見る。


「お仲間連れて遊びに来たのかい?・・・おや?」


怨霊達の存在に気がついたようだ。


「またずいぶんと無粋なものを連れておいでだねぇ」