神様修行はじめます! 其の二

その声のあまりの陰惨な響きに、あたしはぞっとした。


底の知れない怒り。

恨み。憎しみ。

それらの全てが、地獄の業火で焼かれ、渦巻いている。


やっぱり人間じゃない。

こんな、こんな声は・・・


命の息づく者には、絶対に出せない。


「口にできぬほどの、凄惨な拷問を受けて死んでいった者達の声じゃ」


口にできないほどの・・・?


「いっそ死んだ方がましと思っても、舌を噛んで死ぬ事もできぬのじゃ」


死んだ方がましなほどの・・・?


「人としての限界を超えた仕打ちじゃ。さぞ恨みも骨髄に達しておろう」


いったい・・・

どれほどの仕打ちをしたの?


ここまで激しい怒り。

燃え盛る憎しみ。

地獄の業火で焼かれてもなお、消え去る事のできない恨み。


そこまでの事を、人は人にできるものなの?



門川の、人間の暗黒の事実。

あたしは、直視するのが心底怖かった。