権田原の屋敷の庭に立ち、感慨深く周囲を見渡す。
秋深い色に彩られた景色を。
遠くの峰も近くの木々も、全てが錦に染められて。
色の霞む木の幹が、肌寒い風を感じさせる。
どこまでも続く金色の稲穂の海。
高い高い、薄青の澄んだ空の色。
あぜ道に揺れる背の高い可憐な花。
今日でお別れだ。
しま子が、仲良くなった牛達やニワトリ達と別れを惜しんでいる。
うん、寂しいね。
この懐かしくて温かく、どこか切ない場所ともお別れなんだ。
お別れ、なんだ・・・。
「天内のお嬢様」
セバスチャンさんが、にこやかに近づいてきた。
いつもと変わらない黒い燕尾服、黒いアスコットタイ、白い手袋。
「セバスチャンさん、体の方は大丈夫ですか?」
「はい。ご心配には及びません」
一度は完全に死んだ身。
禁呪を受けて、何か体に副作用でも出ないかと皆が心配した。
それに・・・
当主さんの命を犠牲にして、自分が生き延びた事に罪悪感を感じないかと・・・。
でも、これまた彼もすぐに立ち直った。
実際、セバスチャンさんも落ち込んでなんていられない状況だったから。
当主の葬儀のための一連の儀式。
お岩さんの就任式。
今回の件で被害を受けた民の補償と救済。
それらの全てをセバスチャンさんが取り仕切って手配した。
ろくに寝てる暇も無かったと思う。
秋深い色に彩られた景色を。
遠くの峰も近くの木々も、全てが錦に染められて。
色の霞む木の幹が、肌寒い風を感じさせる。
どこまでも続く金色の稲穂の海。
高い高い、薄青の澄んだ空の色。
あぜ道に揺れる背の高い可憐な花。
今日でお別れだ。
しま子が、仲良くなった牛達やニワトリ達と別れを惜しんでいる。
うん、寂しいね。
この懐かしくて温かく、どこか切ない場所ともお別れなんだ。
お別れ、なんだ・・・。
「天内のお嬢様」
セバスチャンさんが、にこやかに近づいてきた。
いつもと変わらない黒い燕尾服、黒いアスコットタイ、白い手袋。
「セバスチャンさん、体の方は大丈夫ですか?」
「はい。ご心配には及びません」
一度は完全に死んだ身。
禁呪を受けて、何か体に副作用でも出ないかと皆が心配した。
それに・・・
当主さんの命を犠牲にして、自分が生き延びた事に罪悪感を感じないかと・・・。
でも、これまた彼もすぐに立ち直った。
実際、セバスチャンさんも落ち込んでなんていられない状況だったから。
当主の葬儀のための一連の儀式。
お岩さんの就任式。
今回の件で被害を受けた民の補償と救済。
それらの全てをセバスチャンさんが取り仕切って手配した。
ろくに寝てる暇も無かったと思う。


