『ぼくもそこへいけますか?』

『それは・・・ならぬ』


月から目を逸らさず。

ただ、じっとじっと見つめ続けて。



『おそらく一人にならねば、行けぬ場所じゃ』



行きたいのぉ

行きたい

いつか・・・


行けるものなれば、行きたいのぉ・・・




・・・・・。


・・・・・・・。



奥方は・・・


行けたのだろうか。

行きたかった場所に。

全てのしがらみを脱ぎ捨てた今、その場所へ行けたのだろうか。


ひとりぼっちで・・・

やっとの事で・・・。



あたしと門川君は月を見上げた。

その向こうの何かを見届けるように。

そして・・・



「さぁ帰ろう。みんな僕達を待っている」



うん、行こう。

あたし達の行くべき場所へ。

行きたい場所へ。


あたしと門川君は手を取り合い、みんなの待っている場所へ向かい始めた。