片手に高々と扇子を掲げ持ち、硬直する奥方。
その体にまるで寄り添うように密着する彼の姿。
手にした刀は、確実に奥方の肉体にめり込んで・・・。
ぴしぴしと音が立つ。
奥方の体が白い霜に覆われる。
全身、氷の結晶で装飾されたように。
刀は一息に抜き取られた。
反動で奥方の体がドサリと床に倒れる。
「・・・・ ・・・」
ひくひくと痙攣する体。
焦点の定まらない、ぼやけた視線。
門川君もその場に倒れこんだ。
四肢を脱力させ、全身が細かく震えている。
限界を超えたんだろう。
でも・・・
あたしにはまるで、彼がむせび泣いているように見えた。
おわった・・・・
終わったんだ・・・
その言葉だけがグルグルと頭を駆け巡った。
これで全てが終わった。
決着がついた。
何十年もの長い長い時間をかけて、やっとの事で。
たくさんの悲劇と苦悩を生み出した争いが終わった。
勝利・・・?
そんなもの、あるのかどうかは分からない。
ただ間違いなく決着はついたんだ。
満足感とか、充実感とか、喜びとか。
不思議になにも、浮かんではこなかった。
これで終わった・・・。
ただそれだけが確かな事だと、あたしは思った。
その体にまるで寄り添うように密着する彼の姿。
手にした刀は、確実に奥方の肉体にめり込んで・・・。
ぴしぴしと音が立つ。
奥方の体が白い霜に覆われる。
全身、氷の結晶で装飾されたように。
刀は一息に抜き取られた。
反動で奥方の体がドサリと床に倒れる。
「・・・・ ・・・」
ひくひくと痙攣する体。
焦点の定まらない、ぼやけた視線。
門川君もその場に倒れこんだ。
四肢を脱力させ、全身が細かく震えている。
限界を超えたんだろう。
でも・・・
あたしにはまるで、彼がむせび泣いているように見えた。
おわった・・・・
終わったんだ・・・
その言葉だけがグルグルと頭を駆け巡った。
これで全てが終わった。
決着がついた。
何十年もの長い長い時間をかけて、やっとの事で。
たくさんの悲劇と苦悩を生み出した争いが終わった。
勝利・・・?
そんなもの、あるのかどうかは分からない。
ただ間違いなく決着はついたんだ。
満足感とか、充実感とか、喜びとか。
不思議になにも、浮かんではこなかった。
これで終わった・・・。
ただそれだけが確かな事だと、あたしは思った。


