崩れた壁を越えた先に、吹き抜けの階段が見えた。
奥方がフラフラと、上へ上へと上っていく。
それを門川君が必死に追いかけている。
あたしも漆塗りの手すりにつかまりながら、なんとか追いかけた。
ふたりの流した血の跡が、点々と足元に続いている。
それを踏むように上へ上へ・・・。
額から汗がダラダラ落ちる。
がくがくする足を叱り飛ばしながら上っていった。
そしてついに最上階へ・・・。
ここは何階だろう。
数えてる余裕も無くて、まったく分からない。
耳に鈍い金属音が聞こえてきた。
あたしは最上階の板張りの床に両手をついて、転がりこむようにたどり着いた。
はぁはぁと激しい呼吸を整える。
金属音のする方向へ目を向けると・・・
門川君と奥方が斬り合っていた。
刀と扇子がぶつかり合い、お互いを跳ね返す。
ふたり共、もうさっきのような素早い動きはまったくできない。
鋭さの消えた太刀筋。
鈍りきった動作。
双方、限界を迎えていた。
最後の決着に向けて、死力を尽くして戦っている。
奥方の黒く焼け爛れた全身、だらりとほどけた長い乱れ髪。
崩れ落ちた化粧、血に染まって赤黒く濡れ光る背中。
幽鬼のように迫る表情。
門川君も頭からつま先まで血まみれだ。
動くたびに深い傷から鮮血があふれる。
激しく乱れる呼吸と、見た事も無い鬼気迫る表情。
もうすぐ、どちらかひとつの命が終焉を迎える。
その時が刻々と無情に迫っていた。
奥方がフラフラと、上へ上へと上っていく。
それを門川君が必死に追いかけている。
あたしも漆塗りの手すりにつかまりながら、なんとか追いかけた。
ふたりの流した血の跡が、点々と足元に続いている。
それを踏むように上へ上へ・・・。
額から汗がダラダラ落ちる。
がくがくする足を叱り飛ばしながら上っていった。
そしてついに最上階へ・・・。
ここは何階だろう。
数えてる余裕も無くて、まったく分からない。
耳に鈍い金属音が聞こえてきた。
あたしは最上階の板張りの床に両手をついて、転がりこむようにたどり着いた。
はぁはぁと激しい呼吸を整える。
金属音のする方向へ目を向けると・・・
門川君と奥方が斬り合っていた。
刀と扇子がぶつかり合い、お互いを跳ね返す。
ふたり共、もうさっきのような素早い動きはまったくできない。
鋭さの消えた太刀筋。
鈍りきった動作。
双方、限界を迎えていた。
最後の決着に向けて、死力を尽くして戦っている。
奥方の黒く焼け爛れた全身、だらりとほどけた長い乱れ髪。
崩れ落ちた化粧、血に染まって赤黒く濡れ光る背中。
幽鬼のように迫る表情。
門川君も頭からつま先まで血まみれだ。
動くたびに深い傷から鮮血があふれる。
激しく乱れる呼吸と、見た事も無い鬼気迫る表情。
もうすぐ、どちらかひとつの命が終焉を迎える。
その時が刻々と無情に迫っていた。


