神様修行はじめます! 其の二

ひぃ・・・とあたしのノドが鳴った。

彼は両目を半ば閉じ、ほとんど気を失ってしまっている。

門川君!・・・門川君っ!!


どくん! どくん! どくん!

血潮が・・・熱いっ!!


「淡雪よ・・・」

息を息を切らしながら、奥方が倒れた門川君に話しかける。

彼の母の名を・・・憎い女の名を呼びながら。

両の扇子が高々と掲げられる。

「お前の名残は、全てわらわが消し去るのみ」


焦点の合わない目で奥方が叫んだ。

「再び苦しみぬいて死ね! 淡雪!!」


「門川君!! いやあぁぁぁぁ―――っ!!」


バッッックン!!!


あたしの全身が律動した。

体の全てが心臓になったように脈打つ。

四肢が固まり、まるきり動かなくなり。

頭の中は完全に真っ白になった。


なにもかもが大きくビクン!と震えて・・・


ボオオォォ・・・・・!!!


奥方の体を巨大な紅蓮の炎が包み込んだ。

轟音と共に揺らめき、飲み込むように奥方を焼きつくそうと襲い掛かる!


「・・・おのれ邪魔だてするか天内!!」

奥方の両手が大きく舞った。

「小賢しい! このような脆弱な炎など・・・!」