神様修行はじめます! 其の二

彼の体の傷はどんどん増えている。

そのたびに血が飛んだ。

飛ぶ・・・? 風圧!?


よく目を凝らすと、奥方が攻撃するたびに扇子がキラキラと輝く。

まるでガラスの破片が微粒に光るような・・・。

砂粒ほどの小さなガラス片? 金属片?


鋭い刃物のカケラを飛ばして、彼の体を切り刻んでいるんだ!

どれだけすごい風圧なの!? 人間業じゃない!


奥方も、れっきとした神の末裔なんだ。

異形のモノと戦う一族の末裔。

門川の正妻の座に就けるだけの、強大な力の持ち主なんだ。


奥方の扇子を受け止めるたびに、どれほどの衝撃に耐えているんだろう!

そのうえ体を切り刻まれて体中傷だらけだ!

彼の皮膚が、肉が深く削られていく!


全身から流れる血が飛ばされ、赤い煙のように彼の周囲を覆った。

あぁ、門川君・・・!

あたしは両手で口元を覆い、かすかに悲鳴を上げた。


ついに彼がガクリと片ヒザをついた。


「ほほほ・・・永久よ、苦しいか?」

止まない攻撃の合い間に、奥方の嘲笑が聞こえる。

門川君は歯を食いしばり必死に刀で防御する。